日本の家計の金融資産(不動産は含まない)は
2018年9月末で約1859兆円となっており、その半分以上
(968兆円)が預貯金・現金で保有されています。

ご存知の通り、日本の預貯金はほとんど利息がありません。

定期預金であれば0.01~0.1%という世界。
国債でも0.05%のため、1000万円預けても、年数千円から
1万円というわずかな金額しか増えません。

にも関わらず、
日本の預貯金比率は先進国のなかでも最も多く、
約52%となっています。



欧州圏では30%前後、アメリカに至っては16%程度なのですが、
米国の国債(10年)は2%台後半から3%もあります。

日本と数百倍も高い利息が付くにも関わらず、保有割合が非常に
低いのです。

その一方で、リスク資産の筆頭でもある株式の比率を見ると日本
はわずか11.2%なのに対し、米国は31%。

この統計は、日銀が発表している資金循環統計のデータになりますが、

https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf


金融広報中央委員会が発表している個人金融資産の内訳国際比較
を確認すると、日本人の株式保有比率はわずか3%

米国と実に10倍もの開きがあります。

従来は、この違いを投資先進国と後進国の違いや、根強い預貯金
信仰によるもの。

また、過去のバブル崩壊や株価急騰、急落の繰り返しにより、
株式投資=ギャンブルというイメージもあるでしょう。

これといった確かな説はなかったのですが、今回提唱したい説が
トランスポーター遺伝子説です。



■トランスポーター遺伝子と投資の関連性

トランスポーター遺伝子
(あるいはセロトニントランスポーター遺伝子)は
神経伝達物質のことで、いわゆるホルモンです。

セロトニンは「幸福のホルモン、幸せホルモン」とも呼ばれ、
嬉しい、幸せといった感情の時に多く分泌されます。

セロトニンは濃度(セロトニンレベル)が高いほど楽天的になり
低いと不安を感じやすいとされます。

高いのはL型、楽天的な性格。

低いのはS型となっており、悲観的な性格です。

人はLL、SL、SS、3つのいずれかに分類され、LLからSSにかけて
レベルは低くなります。


日本人の場合、最も低いSS型が何と7割で、LL型はたったの2%。

世界で最も少ないそうです。

一方の米国はLL型が32.3%となっており3人に1人います。
(日本は1.7%)

SL型は48.9%と約半分、日本は30.1%。

SS型は日本68.2%に対して米国18.8%でした。


日本は自殺者数が減ってきたものの、自殺率が高く、幸福度が
低いのはご存知の通りです。

これを株式投資に当てはめてみると、株価が上がるという楽観的
な投資家はほぼいません。

「株価はいつか上がる、将来は明るい」という人は極めて少数派
で、大半は保守的。


不安という感情が優先されます。また、リスクを好まないため、
預貯金となっているのではないでしょうか?

その他、類似性の高い事例として、米国の起業率は日本の倍近く
ある一方、医療費は「国民皆保険制度」により負担比率が非常に
低いのが日本です。


米国は盲腸になると破産すると言われる程医療費が高額であり、
数百万円かかります。

冗談かと思われそうですが、米国の場合、一定以上の所得がある
人には公的医療保険がそもそも存在しません。

民間医療保険会社が提供する保険が唯一の手段となっています。


これも、自分は病気にならないという楽観的な考えが根底にある
かもしれません。